ヘブンズ俱楽部
阪神淡路大震災で、ひとつの小さな楽器と再び出会ったことが、その後の人生を大きく変えました。音楽は、ただ音を奏でるだけではなく、人の心を癒し、未来へ希望をつなぐ力を持っている。そう語るのは、鍵盤ハーモニカ奏者として全国・世界で活動するトミー・チョウさんです。
◆幼い頃から音楽とともに
「父は漢詩作家であり書道家でした。幼い頃から墨の香りや筆の音に囲まれながら、4歳でピアノを、12歳でトランペットを始めました。大阪音楽大学で学び、その後は世界の一流アーティストたちとご一緒する機会にも恵まれました。」
音楽はいつも身近にあり、自然と自分の中で呼吸のように存在していた、と振り返ります。
◆震災の瓦礫の中で
「1995年の震災では、神戸・三宮の自宅で被災しました。地鳴りとともに『ドカーン』という衝撃音。まるでミサイルが落ちたかと思ったほどでした。マンションの1階に住んでいた私は、『これは倒壊して下敷きになるかもしれない』と一瞬で覚悟しました。」
その後、復興のための活動が続きました。消火、片付け、支援。音楽のことを考える余裕はどこにもなかった。
そんなある日、瓦礫の中から一台の鍵盤ハーモニカが見つかります。
「命が助かった自分にできることは何か。この楽器を朽ちさせてはいけない、と手に取りました。ケースを開けてみると壊れていなくて、そっと息を吹き込んだら音が鳴ったんです。その瞬間、胸が震えました。音の持つ力、音楽が人に与える力を心から思い出させてくれたんです。」
◆音楽を再び、人のために
震災で拾った鍵盤ハーモニカをきっかけに、トミー先生は活動を再開します。
「Tommy☆PiaNica Soul!」を結成し、被災の経験を伝える演奏を始めました。
さらに「Tommy Cocoloプロジェクト」を立ち上げ、台湾大震災や中国四川大震災、東日本大震災など被災地を訪ね、震災孤児たちに楽器と演奏を届け続けています。
「絶望の中でも音が人を励ます、その力を目の前で何度も見てきました。だからこそ続けているんです。」
やがて世界初となる「鍵盤ハーモニカを中心としたオーケストラ『全国鍵盤フィルハーモニカ』」を設立。各地に輪は広がり、自作した木製の鍵盤ハーモニカが団員たちの音を支えています。
◆音楽とウェルビーイング
「鍵盤ハーモニカの魅力はシンプルです。音を出す喜びと、呼吸法による身体の健康。そして何より、人と心を合わせることにあります。」
“息を合わせる”とは“心を合わせる”こと。
「音楽はストレス発散だけではなく、心の健康を整えることが大事なんです。自分の健康を自分でつくる、その根本に音楽は寄り添ってくれます。」
◆長野との出会い
「2016年には千曲市の公式キャラクター『あん姫』の歌を作曲し、翌年には観光大使を務めさせていただきました。今では千曲市や長野市に50名を超える団員がいて、元気に活動しています。」
◆団員たちの印象
「長野の団員の皆さんは、本当に真心のエネルギーが大きい。音楽を楽しむだけでなく、『この喜びを人に伝えたい』と自然に思える人たちです。その循環が、音の輪をどんどん広げています。」
◆長野の魅力
「長野に来るとね、必ずちょっと太るんですよ(笑)。食べ物が美味しいんです。
一番驚いたのは“水”。神戸の水は琵琶湖から来ていますが、長野の水を初めて飲んだ時、『なんて美味しいんだ!』と感激しました。」
◆トミー先生にとっての幸せ
最後に、幸せについて伺いました。
「私にとっての幸せは『人の笑顔が自分の笑顔になること』です。
やりたいことだけでは自己満足で、やるべきことだけではノルマになってしまう。でもその両方が“人の笑顔”につながれば、やるべきことはやりたいことに変わります。
そういう生き方こそが、本当のウェルビーイングだと思っています。」
11月15日(土)テラスグランツ『健康ウェルビーイングフェスタ2025』にて
鍵盤ハーモニカ・スペシャルライブを開催します!
詳細はこちらへ
https://bright-shinshu.co.jp/news/513/